「両国花錦闘士」という祝祭と、祭りのあと。

 

エンタメに飢えた数多のおたくたちを狂わせた、両国花錦闘士が終わってしまいました…。大阪公演後くらいから感想ブログ書きてえ~~~って言ってたのに、結局終わったあとになったけど、感想を書きます。

なんでもこじつけたがるおたくの書いたこじつけ主観満載だけど、個人の感想だからそこのところよろしく。あとあんまりストーリーに沿ってない。

 

前回のエントリはこちら

schiiiiio.hatenablog.com

 

 

①昇龍の「影」

ここ、須藤王さんの歌に乗せたわりと軽めのシーンなんだけど、結構重要なところだったんじゃないかなあと思っている。できる父とできる兄たち(母の描写なかったけどどうなんだろう)の中で育ったせいで、家族の中の「異端」な存在になった昇龍。ちい兄さんに本名で呼ばれることを頑なに嫌がってたけど、昇龍という名前でいることで、北山家の異端であることから解放されていたのかなあと。大阪公演まではあんまり感じなかったんだけど、福岡公演になって急に、兄への「劣等感」が前面に出てきていて驚いた。この表現になったことによって、昇龍のキャラクターがより入ってきやすいというか理解しやすくなったような気がする。昇龍として北山家への劣等感を払拭しようとしてたけど、太らないというこだわりは北山宏美のままで認められたいという気持ちの表れのようにも見えるし、結局清史にデータ解析してもらってる時点で北山家から離れられてないじゃん、っていう矛盾も多くて。その矛盾がまた影って感じがした。

名古屋場所に清史が現れて、桜子と近づいて、その2人を見る昇龍の目が、公演を重ねるごとにじわ~っと重苦しい空気を放っていて、昇龍剛士の皮が剥がれていくような、そんな雰囲気がすっごい痛々しくてよかった。

で、料亭前で清史と会って、桜子と付き合うのはやめたほうがいい、と言われるシーン。ここ福岡公演マジでやばかった。「桜子は俺たち2人を天秤にかけてるんだ」って言われて、「じゃあ絶対おれの勝ちじゃないですか」って言い返す時点でもううまく笑えてなくて、虚勢張ってるの丸わかりで痛々しい。そして、「桜子と寝たよ」って言われた瞬間その顔が一気に歪んで、一瞬で全身を劣等感が包むんだよね。←ここ!!!ほんと!!!!!!痛くて苦しくてちょっと泣けるくらいやばい。少なくとも私の見ていた大阪公演までは、寝たよって言われた昇龍は怒りに包まれてたんだよね。それが全然変わってて、ああ影ってこれだったのかなってストンと落ちた。

この影を祓って、最後は光を纏うどころか光そのものになっているのが眩しかった…。

 

 

②「神に選ばれる」ということ

橋谷ちゃんが「なぜ昇龍は太りたくないのか」っていうところを突き詰める過程で、神がじわじわと近付いてきていた…。ラストの取組のときに流れてた荘厳な曲(シャリーンて鈴が鳴るやつね)、他にも2回使われていた。1回目は飛騨乃里(字あってる?)との取組前に、仕切りの解説がされてるとこ。ここで、昇龍のオーラが土俵を守る四神の1人(?)である青龍になっている。もう既に神に愛されてない???

2回目は、「お前は何を美しいと思うのか」と橋谷ちゃんが昇龍に問われるところ。美しくありたい、そして美しいままで強くありたい、という昇龍の信念に触れる。この「美しい」がすごい難しいなと思ったんだけど、未だにちょっとぼやっとしてる。単に痩せた筋肉ばかりの身体、っていうことだけじゃなくて、「一瞬の勝負にすべてを賭ける」相撲へのこだわりと、そのために膨大な鍛錬を重ねることと、一瞬の爆発で神が世界を創ったように一瞬で勝ちを手に入れること、っていう相撲そのものの美しさと自分の美学を重ね合わせたもの?ちょっと何言ってるかよくわかんなくなった。概念って難しい。

で、3回目がラストの取組。うまく言えないんだけど、あの曲がかかると空気が澄んだ感じがするんだよね。だからきっとあのとき神は近くにいて、鈴の音は神の足音だった、と勝手に思っている。(1回目は鈴の音ほとんど聞こえないし)

昇龍は家族に劣等感を抱えていたけど、自分の相撲への美学を認めて愛してくれた桜子が現れたことで、少なからず自信を手に入れた。でも桜子に振り回されることで振り払ったはずの劣等感にまた追い込まれて、自分を見失っていく。最終的に自分の信念のために戦う姿を取り戻せるけどそれは橋谷ちゃんの一押しがあったからで、その橋谷ちゃんからも「五穀豊穣の神は女神よ、結局あなたの相撲は女性に捧げられる」って皮肉を言われて、どこまでも昇龍の周りには昇龍を消費する女たちがいる。

これすごいなーって思ったんだけど、観客として見ている私たちも、昇龍を祝福する女神になり得るんだよね。だって女たちも女神たちも昇龍の中では並列なんだもん。神に選ばれたいから相撲をやっているはずなのに、その神すらも自分を消費する女たちと同等に扱う昇龍マジでめちゃくちゃかっこよくない?!?!?!だから結局、「神に選ばれたい」=「神に選ばれるために相撲をとる」のではなく、自分の美学を追求して強くなって昇り詰めることで、「神に俺を選ばせてやる」ってことなんだよね…。神にすら媚びない、俺が俺である故に神も俺を選ばざるを得ない、っていう状況を作り出している。そんなもん眩しくて眠れるわけあるか?!?!?!?!マジでめちゃくちゃかっこよくない?!?!?!

「見てろ桜子。見てろ女たち女神たち。夜も光るほど艶やかになって、お前らを眠れなくさせてやる。」この、「夜も光るほど艶やかになって、」のあと昇龍が目を瞑って、瞼を開いて笑った瞬間、ほんとにぶわーーーって光るの!!!!!あの間の取り方は天才の所業だった…。かっこいい!!!眠れない!!!かっこいい!!!!!!って帰るとき毎回言ってた。

しかもその取組の結果がどうなったかわからないんだよ…でもまあ勝ってても負けてても、まだ神に選ばれる道中なんだと思う…だけどこの先必ず神が昇龍を選ぶ瞬間が来る。そう思えるラストシーンでした!最高!!!!

 

 

③昇龍とは異質と見せかけて同質性ももつ雪乃童

とにかく愛されたい雪ちゃん。子供のころいじめられてたことも関係してるのかな?応援されると頑張れて、応援されてないと思うと頑張れない単純なところ、ひたすらおたく心をくすぐられる。だけど本当に応援してほしいさやかお嬢様には全然相手にされず、むしろデブだからって嫌われる雪ちゃん、切ない…。「神にも媚びない」昇龍とは体型も含めて正反対の力士として描かれてるけど、だんだんそれが変わっていくのが雪ちゃんの魅力だよねーーーーー。2幕で歌うとこ、ここではまだ「僕は僕を応援してくれている人のために自分の相撲をとります」って言ってる。誰かのための相撲じゃなくなるのは、憧れのさやかお嬢様が梅太郎と付き合いだしたときで。っていうか、さやかお嬢様に認めてほしくて頑張ってたところがある、っていうのが、もう全てっていうか。お嬢様のことは振り向いてもらえなくてもずっと好きでいられたんだよね。その「ただ好きでいる」っていう純粋な気持ちを相撲にも向けられるようになったことで初めて「自分の相撲をとる」ところに辿り着いた。お嬢様は結局最後まで振り向いてくれなかったけど、雪ちゃんが頑張る姿を見てお嬢様も変わって、その頑張る姿があるからこそ応援されるっていう、卵が先か鶏が先かみたいな話だけどw

自分の相撲をとる、千秋楽まで全部勝つ、だから応援してください、っていう応援ありきではない姿勢で、「自分のために戦う」と決めて、そしたら横綱にも勝てちゃうんだよね。雪ちゃんかっこいい…。そして迎える昇龍との一戦、二人とも「自分のために戦う」っていう文字通り「同じ土俵で戦う」ラストシーン。だから昇龍と雪乃童は真逆なんだけど同じなんだよね。このストーリーにおいて圧倒的主役の昇龍がいても、雪ちゃんのことも大好きで応援したいって思う人が多かったのはこういうところもあるのかなって。はーーーースー女になって雪ちゃんのおたくやりてえ~~~~~。

 

 

④エンターテインメントを消費する全おたくの代弁者、桜子

桜子が、欲望に忠実であれ!!!!!!とクソデカ大声で言い続けてくれたから、おたくは勇気をもらったよね…。ステージ上からその姿勢を肯定してくれるって、心強さしかない。なんかこう、金に物言わせる最前ガッツみたいなスタンスで昇龍のこと追いかけてるのに、めちゃくちゃ乙女だから愛さざるを得ない桜子様…。明治座公演ではそうでもなかったのに、公演が進むにつれて乙女度爆上がりでたまらなかった。ていうか、りょうさんてこういう役の作り上げ方するんだ?!?!っていう驚き。桜子のキャラクターがいい意味でぜんぜん安定しなくて、いつ見ても新鮮に昇龍のこと大好きで、多ステおたくの「今日の自担にまた担降り!!!!!」みたいな雰囲気を感じたよ。あの水色のスーツ超かっこよくて大好きだったんだけど、最初に桜子が歌うとこ、斑な青い照明がぐるぐる渦巻いて、それが男たちを取り込む渦のようで、その渦の中心に構える桜子様のオーラが最高に痺れた…。

繰り返しになるけど、あそこまで先頭切って昇龍を追いかけて振り回した桜子ですら、消費者の一員として神や女たちと並列になっていたのも最高だった。おたくは所詮おたくであって、皆並列なのである…。それでもそれぞれに必死に愛する男を追いかける姿は美しいよね!!!!!!!

 

 

入江甚儀くん

唐突に入江くんの話wwwいやなんか、トオル兄さんえっち!!!かっこいい抱いて!!!!とか言ってたら、一周回って最終的には「じんぎりあこ~~~~~~><」ってなってた。ので、入江くんについて書く。

まずさやかお嬢様のうさんくさいIT彼氏トオル。めちゃくちゃきもいのにどこかピュアさを感じさせる不思議な男トオル…。さやかママにお金借りに行って「いいんすか…??」のとこ、最初の方は100万もらえるのラッキー!て感じのずる賢い雰囲気あったのに、だんだん切実さ増してきて、なんだか悲しくなってしまった…実は本当にさやかお嬢様のこと好きになっていたとかだったらいいな。という願望。

純潔(でいいのかな?)のトシアキ(28)。13でスカウトされて14年たってようやくデビューにこぎつけたってことは桜子の「ポチ」ではなかったのかなあ。ローラースケートがいつでもおぼつかなくてかわいかったw取り分上げてくれってだだこねるとこ、イライラする手の動き速すぎてそれだけでおもろかったトシアキ…桜子の寵愛をもう一度(以前に受けてたかは不明だけど)受けたくて暴走しちゃうの愛しいし、後ろから羽交い絞めにされたとき結構な割合で第3ボタンだけとれちゃってたの愛しかった。純潔のおたくとしてトシアキのファンサもらいてえ~~~~~って何回も思ったよ…

怪我ノ山。おしりがかわいい。雪ちゃんとの取組で負けて退場してくとき、怪我ノ山の名前に忠実っていうか、足引きずりながら捌けてくのがめちゃくちゃ遅くて切なくて毎回爆笑してたwwwここだけかと思いきや、昇龍に勝ったあとも土俵から降りたら足引きずって同じ速度なのwww芸が細かすぎwwwwwこういうちょっとした設定にすごく忠実なの推せる。

トオル兄さん。トオル兄さんめちゃくちゃセクシーじゃなかったですか?!?!?!?!

途中から、須藤王のshadowの曲のときずっっっっっっとトオル兄さん見てた。(自担ステージにおる)まず舌出しポーズが最高。舌長い。腕も長い。蛇に見立てた腕をなでなでしてるんだけど、その蛇がエクスタシーーーって感じで震えててまじ!超!官能的なの!!!!!!!たまらん!!!!!!!!!あと、捌け際もうライトついてないのに蛇(腕)だけステージに残ってて、それをヒュッて引いて捌けきるのも芸細かすぎてどうしても見ちゃうよね…。あの蛇、旗振り前の曲のとき目がハートになってんのみんな知ってた?!?!?!トオル兄さんもなんやかんや桜子のこと好きだったのに、それがただのつまみ食いで、「最後はあなただけよ」って桜子が昇龍に歌うとトオル兄さんショック受けてんだよ…なんなのピュアなの????????人間に興味あんのかよ!!!私にもチャンスあんじゃん!!!!てその後トオル兄さんを追いかけたい人生だった。

 

 

 

はーーーーー書きたかったこと全部書けた。

そうこうしているうちに両国花錦闘士52公演完走してた。おめでとう!ごっちゃんです!!当初はそもそも幕が開くこともないのかも、と思っていたのに、気付けば幕が下りるところまで来てしまいました。スタッフも含めて102名も関係者がいたのに、1人も欠けることなく走り切れたのは本当に奇跡的だし、演劇の神様が守ってくれたんだと思っている。こんなに笑える舞台なのに毎回信じられないくらい泣いて、最後の方はもうオープニングから泣いてw、もはや何に涙してるのかもよくわからなくなったけど、ステージ上から伝わる熱を受けて毎回心震わせていました。私たちがカンパニーを愛するよりもっと、カンパニー自身がカンパニーのことを愛していて、その愛を一身に受けてカーテンコールで真ん中に立つ原嘉孝を見れて誇らしく、幸せでした。

原嘉孝の舞台を見ていると、こんなに楽しいことって今後あるのか?!って思うことが多いんだけど、今回も思っているけどwたぶん、いや絶対これから先ももっともっと楽しいことが待っているはずなので、みんなまた現場で会おうな!!!!!!!!!

なんと原嘉孝、もう次の現場来週から始まります。

re-trial.jp

 

化け物か?????

そしてなんと、これが2月28日で終わったと思ったらまたその次が始まります。

www.stagegate.jp

 

シンプルにやばい。

え、これが昇龍やってた人??????ってなるくらい全然別物の原嘉孝が見れることをお約束します!!!みんな見に来てね!!!!!!!

 

 

両国花錦闘士を見ずに死んでいく人ばかりなんてこの世の損失でしかないので、いつか再演できることを願って長生きしたい所存。

いつか死んだら葬式でおしゃりきの主題歌流してみんなで棺桶の周りで踊り狂って送り出してほしい。棺の中には私のよしたか団扇とおしゃりきのパンフレットを入れてください。これは遺言です。

 

楽しかったーーーーーー!!!!!!!!!!!!!ごっちゃんでした!!!!!!!

 

 

 

 

 

そういえば、何気なくツイートした「3時間ずっとマツケンサンバ」がじわじわ広がってて、「ほんとにマツケンサンバだった!」て感想時々見かけたの面白かったw